第2回在宅歯科医療推進連絡室整備事業研修会

 7月25日(月)午後7時半から小倉歯科医師会館で、在宅歯科医療推進連絡室整備事業研修会がハイブリット形式で行われた。
 今回は北九州市立総合療育センター歯科部長の山本晋也先生と、北九州歯科医師会専務理事の板家隆先生のお二人にご講演いただいた。
 山本先生は「医療的ケア時の口腔健康支援~地域歯科に求められていること~」という演題でお話しされた。
近年の周産期医療・小児科医療の発展により乳児死亡率は著しく低下した一方、日常生活および社会生活を送るために医療的ケア(人工呼吸管理、喀痰吸引、その他の医療行為)を受けることが不可欠である医療的ケア児(医ケア児)が増加している。
基本的にすべての医ケア児は在宅で生活を送っており、生活の場が病院から在宅に変わったため、医ケア児とその家族が充実した社会生活を送れるように支援するための法律「医ケア児法」に基づき、歯科の領域でも医ケア児の口腔健康支援が必要となってきている。
医ケア児の基礎知識、歯科診療を行うにあたっての準備と実際、留意点、これからの課題などについてお話いただいた。
最後に、「医ケア児はみんな、お口の中を歯医者さんに診てもらっている」を目指しているとのことで、歯科医師会でも啓発活動をしていこうというものだった。

次に板家先生は「在宅小児のための歯科対応~医療的ケア児に対して~」という演題でお話しされた。
医ケア児については先に講演された山本先生と重複するところはあるが、一般開業医が在宅医ケア児の訪問診療でできることはあまりなく、実際訪問するまではかなり敷居が高かったが、いざ行ってみると医ケア児の家族からは、まずは子供と口の中を見てもらいたい、現状で何か問題があるのか、歯みがきについてはどうすればよいのか教えてほしい等々の要望があった。
小児訪問歯科診療での基本的な対応としては、ご家族の話をよく聞き、口腔内診査をして状態を把握した上で、口腔衛生管理を行い、治療が必要であれば高次医療機関を紹介する。
患者自宅から近隣にある歯科医院が主治医となり、後方支援病院(歯科)と連携して、口腔管理と接触機能療法を行っていけるよう、多職種との連携ネットワークの構築を進めていくことが大切であるということだった。

訪問歯科診療も、高齢者のみならず、在宅小児患者にも必要になってきているということで、我々歯科医師も積極的に訪問診療に関わっていくことが求められており、要請があれば訪問できるように今回のような研修会で理解を深めておくことが大切だと思った。