HIV感染症歯科診療ネットワーク医療連携研修会

 令和6年9月13日(金)小倉歯科医師会大会議室にて、HIV感染症歯科診療ネットワーク医療連携研修会が開催された。
 HIV感染症を取り巻く、医療ネットワークについて、産業医科大学第1内科 宮川一平先生、産業医科大学病院HIVコーディネーターナース 田中美佐子氏、産業医科大学歯科口腔外科 平島惣一先生、産業医科大学病院歯科口腔外科 香月祥子氏よりご講演いただいた。

 HIV(human immunodeficiency virus)はレトロウイルスであり、ヒトの免疫が破壊されていく進行性疾患を引き起こす。HIVは唾液、涙、尿などには含まれず、性的感染が主な感染経路である。投薬治療によって血液中のHIVが検出限界以下にコントロールされている場合には、性的接触をおこなった場合でも感染が起こることはない。HIVの早期発見治療が重要であり、現在ではHIVは投薬治療にて生命予後の向上がみられる。

 院内感染に関して、HIV感染者の血液曝露に対しては予防内服を行うことで、過去感染が起きた報告はない。 HIVは社会的背景として差別的な扱いを受けたことがあり、患者自身から、かかりつけ歯科に告げずに診療していることも多い。合理的な理由を除いての診療治療を区別することは正当化されないとされている。エイズ予防情報ネットにて、HIV患者の歯科治療に関するマニュアルが掲載されている。

 HIVを取り巻く医療ネットワーク、HIV患者の歯科臨床の講演を受けて、HIV患者の歯科治療に関して、歯科医院でスタンダードプリコーションを守れば感染のリスクは無く、地域医療、福祉の連携でしっかりとサポートしていく体制を構築していく必要性を感じた。